グランド・サークル旅行記 Day 1(アメリカ、2009年)

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on PinterestShare on Google+

0-1 Las Vegas(ラスべガス)

ブライスキャニオンの毛虫

ラスベガスの街

金と欲に支配された虚無の街……ラス・ベガスの超越した非日常的なイメージは、実物を前に現実へと変わってしまった。実在感があり、統一性のない無駄に豪華な装飾を施されたホテルにふつうの観光客が次々と吸い込まれていく。ギラギラと光を放つCasino街。思ったほどこの街に惹かれることはなく、グランド・サークル・ツアーの窓口として通り過ぎてしまった。

——今回は旅行で訪れていたサンフランシスコから、アメリカの国内線で一番安いSouthwest航空を利用しての出発。不況の真っ只中、ここだけが長蛇の列を作っていた。当たり前に離陸2時間遅れ、というひどい状況ながらも安いから仕方ないとどの乗客もやるせなさそうである。

ラス・ベガスについたのは、19時前。地図もガイドブックも持たずに来てしまい、途方にくれる。ようやく各ホテルを回っているリムジンバスを見つけ、乗り込むが、満員になるまで1時間ほど待ち、さらに乗客全員のホテルをそれぞれ回るので非常に時間がかかる。おまけに私たちの宿泊予定のホテルは郊外にあり、最後のほうに回され、着いたのは21時すぎだった。

さびれた商店街を思わせる古めかしいホテルは、かつて盛栄を極めたであろう雰囲気を残しつつもくたびれた電飾が寂しい。しかし、驚くなかれ。このホテルは2人で$30なのだ!!お湯がふんだんに出るシャワーがあり、綺麗なシーツの上で寝られるのであれば誰が文句を言えよう。おまけに古いとはいえ、Casinoも併設しており、客室も何百とある。明日から始まる典型的アメリカン・フード漬けの日々を考え、せめてもということでメキシコ料理で夕食。サンフランシスコと違い、量も多くもたれる食材のオンパレード。最初のうちはおいしいのだが、満腹と同時にもたれが襲う。ついぞこの数日でアメリカ食を食べきることは一度もなかった。

その後はCasinoへ!! 2003年に地中海に浮かぶマルタ島でCasinoに行って以来。しかし、ドレスコードもなく、誰でも入場可、ずらりと並んだスロット台が放つ光はゲームセンターのようだった。強すぎる冷房も手伝い、一気に興奮も冷めてしまう。ポーカーなるもののルールを少し教えてもらいながらも、Casinoに興じる人々を見て不思議に思っていた。ビギナーズ・ラックで大当たりするかと期待してスロットに挑戦してみたが、つまらない上に当然のごとくすってしまった。ツアーの朝は早い。Casinoより大自然だ!! と早々に引き上げるも、到着の遅れが響き、24時過ぎに就寝。

★ラスベガスの観光ホテルを格安で予約できるサイト:https://www.vegas.com/

1-1 Departure(出発)

朝6時5分。ホテルの入り口で出発の準備を済ませ、待っていると白い大きなバンが向かってくるのが見えた。運転席からはこの旅でお世話になるガイド兼ドライバーが降りてくる。2m近い巨体の割に、威圧感を感じさせないのは、目が細くなって見えなくなるほど人なつっこい笑顔と髪が白っぽかったからだろう。白人なのにこんがり焼けた肌や顔、体型はイメージする“アメリカのお父さん”そのもので、4人の娘のことを自慢げに話す姿もそのものだった。

気になる同乗者はあと2人。これから3日も一緒に行動するのだから、うるさかったり、逆に話しても反応してくれなかったりする人だったらどうしよう、と心配していたが、ふたを開けてみると、かわいらいいイギリスからの女の子2人組だった。私より1、2コ年下で、好奇心があり気配りもでき明るいという素晴らしい2人。

こうして、アメリカの父の元、5人家族のように荒野へと旅立った(一人オヤジが混じっていたが……)。少人数でしかもイギリス娘が好奇心旺盛、アメリカ父がサービス精神に長けているとくれば、道中も面白いことがたくさん。

1-2 Zion(ザイオン)

谷底から600m上にそびえ立つサンドストーンの崖。その岩肌はクリーム色、赤紫色、水色とかわいらしい配色で、険しさを感じさせない。青空と、新緑の木々に包まれ、鳥のさえずりを聞いていると穏やかな気持ちになる。

ザイオンの有名な渓谷や緑と岩の調和を感じるにはトレッキングが一番だが、時間が必要だ。今回のツアーでは時間がなかったので、見所にだけ立ち止まり、散歩や写真を撮る程度に留まった。

グランド・サークルの他の国立公園を回ってわかったことだが、ザイオンの魅力は、緑とパステルカラーの色彩にある。他の公園は大地の荒々しさが前面に出ており、乾燥しており暑く、疲れてしまうときもある。いっぽうザイオンは、川があり、緑があり、みずみずしさがある。周囲にそびえる崖の色も淡く、癒しのスポットとして人気というのにもうなずける。時間がとれるのであれば、1日かけて歩いてみたら良さそうだ(でもそれだったらヨセミテのほうがいい!説もある)。

ザイオン ウェストテンプルザイオンの鹿ザイオン チェッカーボードメサブライスキャニオンの毛虫

車で通行可能なザイオン・マウントカーメル・ハイウェイ走行中に立ち寄って撮影した写真。左から順に:

  1. 直角にそびえたつウェスト・テンプル。淡い色彩が珍しい
  2. イギリス娘が見つけた鹿!! 彼らを見られるのは貴重なことなのだとか
  3. 平行な線と垂直な線が作り出したチェッカーボード、チェッカーボード・メサ
  4. とにかく毛虫が多かった。毛虫の英名を知る。“キャタピラー”

1-3 Bryce Canyon National Park(ブライス・キャニオン国立公園)

ブライスキャニオンアップ

高原が侵食されてできたいくつもの小峡谷。何千という大地の塔が一様に空に向けて尖った先端を向けている(この尖塔のような形状はフードゥーHoodooと呼ばれている)。触ったら崩れてしまいそうな脆さを感じさせながらも、壮大な地球の活動のダイナミズムが伝わってくる。過去から堆積されてきた地層があらわになり、色彩も豊かだ。はるか遠くにはSinking Ship Rock Formationと呼ばれる山が見える。

グランド・キャニオンよりも、ブライスのほうが好きだ。ドライバーのクリスが言っていたが、私たちもそう感じた。中国の兵馬俑は見たことがないが、ある種その迫力に似ているのではないかう。私たちは眼下に広がる壮大な彫刻を前に、現実感がなくなってしまった。自然によってつくられたのだとは思えないくらい残酷で美しい。

ブライス・キャニオンの周りを歩いていくと、見るポイントごとにブライスの姿が違うことにいちいち驚かされた。広大な大地を見渡せるビューポイントをめぐりつつ、3時間余りブライスをまわったけれど、飽きることがない。

1-4 Navajo Burger(ナバホ・バーガー)

ブライスキャニオンのリス

この日はグランド・サークルの中心地Lake Powell沿いのモーテルへ。観光に集中する余り、夕方のランチビュッフェまで朝から何も食べずに来てしまった。夕食を食べるか迷うところだが、アメリカナイズで胃が大きくなった彼氏は大きな失敗を犯してしまった。

宿のレストランで、「Navajo Burger」という地域限定の謎めいたハンバーガーを頼んでしまったのだ。地域の名物を食らうのは旅の醍醐味。しかしここはアメリカ。油断すると怪物に襲われる……。

顔と同じくらいと言っても過言でないくらい大きなバーガーが運ばれてきたときには時すでに遅し。隣のテーブルでお疲れ顔のイギリス娘たちも驚きを隠せない。彼曰く、ちくわの揚げたような感じの生地らしい。写真も味見も忘れてしまったことだけが悔やまれる。もう二度と食べることはないだろうから……。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2016 Madame Voyage JP

コメントを残す