2010年7月上旬ーーひとあし先に梅雨明けした沖縄・宮古島へ、都会で疲れた身体・心をリフレッシュしてくれる島旅に出かけた。碧く輝くビーチ、広い空、スローな時間が迎えてくれた。
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「小さい島 そんなに急いで どこへ行く」
ドライブ中に見つけた交通安全をうたうローガンが、この島の体感的な大きさを、的確に表していると思った。20~30分車を走らせれば、三角形の短辺の端から端まで移動できる。一番長い辺でも40分ほどだ。観光客にとっては、主要な観光地をぐるりと1日で見られて、それでもまだ見るべきマイナー観光地が多々ある(もちろん主要なところを日や時間を変えて複数回訪れても面白い)。この島は、のんびり派にもアクティブ派にも魅力的だ。
合計5日の旅程だったが、うち2日はほぼ東京⇄宮古島移動でつぶれてしまっため、朝から晩まで自由に使えたのは実質3日。それでも青い海と大自然、スローな時間を十分満喫できた。
宮古島3日間の旅コース
今回は、航空券・ホテル・レンタカーがパッケージになったツアーに申し込んだ。5日間で約5万円ほど。格安で済んだ理由は、まだみんなが休みを取らない6月末〜7月上旬の時期だから。でも、この時期はちょうど沖縄の梅雨明けで、台風があまり発生しない、しかも十分暑くて海にも入れる個人的にはベストシーズン。
1、5日目は移動がほとんどだったため、2〜4日目の旅コースを紹介する。
2日目:主要名所を車でかけめぐる
並べてみると改めて回った箇所の多さに驚く。これはガイドブックによく紹介されている1日ドライブコース+αでもある。これを見たときは、一日でこれだけ回るのは無理だろうと、2日に分けて回ることを考えていた。それが回り始めると各地間の距離が短いため、あれよあれよという間に1日で島を端から端まで一周できてしまったのである。
けして急いでいたわけではない。前浜ではあまりに青く透明な海とさらさらの均一な白砂が輝く浜と暑さに我慢できず、午前中を泳いで過ごした。来間島では、カフェで紹介されていた地元の人しか知らないような箱庭ビーチに寄り道した。海沿いを走っていて見つけたビーチにとりあえず寄って、展望台があれば上ってゆっくり眺めて。そんな風に自由に振舞っても、充分に一周できる。
サトウキビ畑を横目に身ながら、たまにスプリンクラーの放水にくらい、島民の運転スピードのゆったりさ(時速30~40キロくらいがデフォルト)にほっこりし、野生のハイビスカスに目を奪われ、トコトコと島を回るのも、なかなか楽しい。行く先々で、少しずつ表情の異なる海に感動し、出会いがあり、ガイドブックからは見えない世界があった。これこそ旅である。
3日目:シュノーケリングで珊瑚&魚と戯れる
言わずと知れた、有名シュノーケリングスポットの吉野海岸。海岸からすぐのところに珊瑚礁が群生しており、その周りをカラフルな熱帯魚がじゃれあう。初シュノーケリングに夢中になりすぎたあまり、疲労が激しく、午後は何もできずに終わった。シュノーケリングについては、別記事にまとめる予定。
4日目:小島やお気に入りスポットを巡る
最終日に訪れたのは、吉野海岸と来間島。すっかりシュノーケリングと小島の魅力に取り付かれてしまった。朝はシュノーケリングで珊瑚&魚と戯れ、午後は疲れた身体を癒すため、より人が少なくて、よりのんびりできる小さな島へ行く。これが2日目に得た、宮古島を楽しむための個人的ポイント。のんびりのんびり、お気に入りスポットをめぐって最終日を終えた。
沖縄旅行は毎年の恒例行事にしようと心に誓ったほど、魅惑的だった。とにもかくにも、意図せずに島中をかけめぐった3日間、大人になっても感動体験ばかり!
宮古島の旅人リズム
ジワジワジワジワ……ひっきりなしに聞こえてくる蝉の声。カーテンの隙間から見える青空。白く暑い雲が強烈な太陽に照らされて金色に輝いている。
沖縄の朝は、生命力であふれている。ひとしきりまどろみ、眠気を振り払ってしまえば、足は自然と海へ向かう。吸い込まれそうなブルー。空と海のブルーが溶け合って、水平線が曖昧になる。深い青からエメラルドグリーンまで、陽射しによって刻一刻と表情を変える水面。島を吹き抜ける風をなでながら、そんな海を眺めたくなる。
朝の光に、海が輝く瞬間をより多く見たくて、海へと車を飛ばす。少年のようにときめいて。
チルアウトな音楽に包まれながら、暑さを忘れさせてくれる日陰の風を心地よく感じ、島を愛する人たちが作ったスローフードに舌鼓を打つ。
暑いからか、身体が辛いものを求める。皆同じ気持ちなのか、宮古島カフェにはカレーが充実している。ココナッツチキンカレー、レッドカレー、ダルカレー……趣向を凝らしたカレーに、島で採れた野菜。健康的な食品にひとひねりパンチが効いた味。沖縄は、恐ろしいくらいに、食が充実している。胃袋でも旅人の気持ちをつかんで離さない!
外は真っ白な太陽に支配されている。ああ。ハンモックで風に揺られながらひとときの惰眠を貪りたい。
再び海へ。
ゆったりと流れる時間の中で、身体のリズムが取り戻されていくのを感じる。の~んびり。ここでは、ゆっくり歩いたり、立ち止まったり、伸びをしてみたり、身体が求めるままに、振舞える。暑ければ、汗をふきつつ日陰に。眠ければ、つかの間の休息を。
一日の終わりを待つ。青い海が、オレンジ色に呑まれる瞬間を。ゆっくり、ゆっくり、空から落ちていく夕陽を、海辺でただ、じっと眺める。
藍色に染まった空を確かめると、ぽつぽつと海岸から人々が帰路へついていく。ヤドカリたちも浜の影からこっそり海へと帰っていく。
昼間の熱気が鎮まり、にわかに平良市街の人通りが多くなる。じっとり残っている熱と、数珠繋ぎのタクシーから排出される排ガス、通りの排水溝から立ち込める悪臭、居酒屋からの臭いが入り混じり、週末の通りを歩くと、さながら東南アジアにいるようだ。
ビーチサンダルとTシャツに短パンでペタペタと彷徨えば、三味線と唄声、ざわめきであふれる居酒屋に流れ着く。
沖縄の人たちは濃い。日に焼けた肌だったり、顔の彫りだったり、とにかく迫力がある。それでも、そんな島民が談笑する姿に、普段は自然と身にまとってしまっている警戒心もほどけていく。泡盛の甘い香りがするカクテルに、ぷちぷち海ぶどうやとろとろラフテーなどの名物料理をいただきながら、その日を振り返り、再び感動し、明日の海に期待する。
来年も、島へ出かけよう。
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