キューバ旅行記#1(ハバナ観光、2006年)

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ハバナ到着

空港につくとまず、ずらりとぶら下げられた世界各国の国旗の色鮮やかさに目を奪われた。いまだかつてこんな愉快な空港は見たことがない。現代風に美しい曲線を描いた外観も、オブジェが迫力ある高い天井も、この明るさにかなわない。通路を進んでいくと、真ん中に、どーんとでかいキューバの国旗! なんと遊び心にあふれたかわいい空港だろうか。よく見ると、柱や窓枠なんかも赤になっていて、ポップな印象を際立てている。飛行機の長旅の疲れも忘れて、元気になるというものだ。

手荷物受け取り所では、背中に「CUBA」と青い文字で書かれた赤いジャージを着た団体がいた。あとで知ったのだが、一般的なキューバ人は海外旅行をすることができない。スポーツ選手、ミュージシャン、外国人と結婚した人、を除いてだ。だから彼らは世界を舞台に活躍するスポーツ選手だったのだろう。

両替をすると、しかし、テンションは一気に下がってしまった。原因は、予想以上にお金が減ったために、これで足りるのか? という不安だった。一日の宿代は事前に調べておいた最低値段で15~20CUCで、いろいろな都市に行く遠距離バスも一回あたり20~50CUCで、明確なプランこそなかったが、不安がよぎる。

ホテルか、カーサか?キューバのホテル事情

出口を出て、ひとまず、今日泊まるところの工面をしないとなぁ、どうしようかなぁと考えていると、「ホテル決まってる?」と褐色の肌に黄色のTシャツが陽気な感じのおじさんに話しかけられた。とりあえず、相場がどんなものなのか、話を聞いてみることにした。彼らの話によると、一番安いホテルで30CUCらしかった。初日だから、まぁいいかと思いつつも、ちょっぴり予定より高かったので、「家に泊まりたいんだけど」とかえす。

家、というのは、キューバ人の家のことで、超短期ホームステイみたいなものだ。キューバでは、政府に“ないしょ”で観光客をホテルよりも格安で家に泊める人がいるらしい。キューバではいくら働いてもみんな同じ給料しかもらえないため、このような副業をこっそりする人がいるのだろう。この話は、メキシコ・シティのドミトリーで同室だった女性から聞いた話だ。その女性は、そのときガイドブックももたず、キューバに旅立つ直前だった。「道歩いてると、うちに泊まらない? って聞かれるらしい。ほんとなのかな?」と不安げにたずねられたことを覚えている。そのときは、一般家庭!? そこでなにか犯罪にあったらどうするの……と、止めたような気もするが、めったにできない経験だし、面白そうだ、とも言った気もする。今回自身が旅することになって、情報を集めたときは、けっこうみんなCasa(カーサ)に泊まって無事だった、というものばかりだったので、キューバに限っては、ホームステイは大丈夫そうだと判断していた。それにやっぱり、旅の醍醐味は“人”だと思っているから、一般家庭にホームステイして、その国の人がどんな暮らしをしているのか感じることができるのは、最高だろうと思う。

その、カーサに泊まりたい、と言ったのだが、「カーサもこのホテルも値段変わらないよ!」とちょっといらついた感じでかえされたので、カーサをどう探していいか知らなかったので、面倒くさかったこともあり、イヤイヤ(でもないが)そのホテルに決めた。ホテルを決めてタクシーに乗ろうとすると、市内までは一律25CUCかかるという。地図上で見ると、そこまで長い距離に思えなかったし、タクシー以外に市民がつかうバスがあればもっと安く行けると思ったので、そんなに高いの!? ぼられてる!? と怒りがつのったが、それしか手段がなさそうだったので、諦めた。そのときは本当にカーサもホテルも値段が変わらないのか、タクシーの25CUCが高すぎるのではないか、と疑問だったが、実際は極めて彼らが正しかった、とあとで気づくことになった。

オールドシティーへ移動

ドライバーを疑いながら、いやな気分でタクシーに乗り込んだが、それはしかしすぐに陽気な気持ちへと変わった。ラジオからは、サルサやソンが絶えず流れていて、おじさんがノリノリで歌う姿がとってもかわいかったのだ。ラジオをひねるだけでサルサが聞こえてくるなんて、なんてすてきな国なんだろう! 私がスペイン語が少し話せるとわかると、おじさんはくったくのない笑顔で、たまに聞き取りづらいスペイン語で話しかけてくる。その笑顔が本当に疑いようもないものだったので、私の心のつっかえはすっと消えてなくなった。そして、上がる車のスピードと比例して、だんだんと、うきうきわくわくしてきた。

窓の外を見れば、世界的なヒーロー チェ・ゲバラの肖像や、「CUBA SI」なんていう文字が壁に書かれている。青と赤と白と、星がプリントされた国旗も、よく見かけた。一番感動したもの、といえばやはり、50年代風(風ではなく、本物なのだけれど)のオールド・カーが現役で走っている姿だ。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』という映画でキューバのことを知った人は多いと思うが、もちろん私もそのなかの一人で、映画のなかに出てくるあのオールド・カーと葉巻がかもし出す雰囲気に完全にノックアウトされたのだから、この感動は筆舌に尽くしがたい。どんなすばらしい太古の遺跡も、“生きている”迫力にはかなわない。

車はハイ・スピードでガンガンまっすぐな道を進んでいったが、道の幅が狭くなり、周りに建物が増えはじめたら、すこしスピードを落とした。ハバナでは、18世紀の建物がそのまま残っており、世界遺産にもなっている、と聞いていたので、なんとロマンチックなんだろう! と想像を膨らませすぎたのか、実際に目に写る建物は、たいそうオンボロで汚く見えた。滞在するうちに、そのボロさも、好きになっていったわけだけれども。

タクシーはひときわせまくて、汚い通りに入ると、さらにスピードを落とした。ホテルが近づいているのだな、と気づいたが、まわりの建物があまりにも古く、汚い感じがして、恐怖心が募っていった(何度も言うが、これはあくまで第一印象だ)。観光客もまったくみかけない。

観光客には高い!キューバのお金事情

陽気なタクシーおじさんに別れを告げ、おそるおそるエアコンでひんやり冷えたホテルに入る。図体がでかく、褐色の肌が怖い印象のボーイのような人が親切に迎えてくれたのでほっとした。部屋はホットシャワーも水洗トイレもついた個室でまぁまぁきれいだったが、30CUCも払う価値があるとは信じられなかった。たとえばベトナムだったら、これくらいのレベルならば5~10ドルで泊まれるからだ。キューバは物価が安い、と思っていたが、実は「観光客」にとってはまったく物価が安くないということに気づいた。

キューバには2種類貨幣の種類があるということもここで言っておこう。一般国民が使うのは、ペソという単位。わたしたち観光客が使うのはCUCというお金。1CUCは24ペソで、たとえばコーヒーの値段ならば、キューバ人は一杯1ペソ、観光客は一杯3CUC(コーヒーを好んで飲まないので記憶は定かではない)という感じ。その差は実に70倍以上!お店によっては、日本と変わらない値段または日本より高い、と思うような値段設定でメニューを提供しているところもある。最初は、このお金の正体がまったくわからず、理解に苦しんだが、要は観光客は金おとしてけよ!っていう制度なのである。しかし、今回の旅はお金に制限がある旅。物価が安い前提で来ていた私は、いちいち優雅にCUCなんて使っていられない。だからなるだけペソを使ってやっていこうと考えた。だが、ペソを使いたければ、地元の人向けの食堂やコーヒー店を見つけて、そこで食事をすればいいのだが、そういう店はたいてい看板など出しておらず、観光客にとっては見つけにくいところにある。

ホテルで、有り金をすべて数えて、計算してみたら、やはりやっていけそうになかったので、食事を我慢し(暑さもあり、かなり痩せて日本に帰ることとなった)、タクシーを使えないのですべて徒歩で、ガイドブックに載っているクラブに踊りに行きたかったけれど、諦めて地元の人が行くようなところをリサーチして安く旅する、と決めた。

節約&ホームステイのためのカーサ探し

ハバナは、街全体が世界遺産に指定されている「オールド・ハバナ(旧市街)」、チェ・ゲバラのモニュメントで有名な内務省が建つ革命広場がある「新市街」が主な見どころ。まずはオールドハバナの中心、オビスポ通りを目指すことにした。

日本人は珍しいのか、街を歩くといろいろな人に声をかけられる。調子よく、「Hola」なんてかえしていたら、ホテルの近くの建物の壁際に腰掛けていた中年男性がなれなれしくついてきてしまった。とくにあとでお金を請求するような悪い人ではなさそうだったので、一人で観光するよりも、地元の人がいたほうがいろいろレア・スポットにもいけるかもしれない、と思い、話を続ける。(どうやら、女性は現地男性から、男性は現地女性からものすごく声がかけられるよう。治安はいい方なので、そんなに心配はいらないと思うが、その理由は後ほど・・・)

次の日に泊まるカーサも一緒に探してもらった。実際は、街を歩いていてもうちに泊まらない? なんて話しかけられることもなければ、カーサの看板もない。彼は通りすがりの人に聞いて、何軒かあたってくれた。1軒目がいっぱいで、2軒目は25CUCと高くて、ようやくたどり着いた3軒目は17CUCと安く、きれいだったので、決めた。そこのママはでっぷりと太っていたが、おおらかな笑顔の持ち主で、「Familia !」と歓迎してくれて、うれしかった。家族は3人で、他に目がぎょろりとしている体も心の広いパパと、葉巻を吸ってテレビを見て一日を過ごしているどもりぎみの太った息子がいる。家族のスペースを通って出入りをしなければならないので、やっぱり気を使う。だが、いい人だったし、盗みもしなさそうだったので、安心してステイすることができそうだった。

明日から泊まる、という話をし、声をかけてきたアダルベルトと市街地観光へ出発した。

声をかけられたキューバ人友達と一緒に街歩き

オールド・ハバナのメインストリート、オビスポ通りを歩くと、そこらじゅうから生演奏の音楽が聞こえてくる。キューバの伝統的な音楽ソンだったり、サルサやボサノバだったり。踊りだしたくなったが、一人では恥ずかしいので、なんにしろ我慢することにした。

ヘミングウェイが『老人と海』を執筆したというオールド・ハバナだけに、海を見たくなった。オビスポ通りをまっすぐ進み、行き着いた海はしかし、汚くて、ショックを受けた。

日が暮れてくると、おなかがすいてくる。おなかがすいたと伝えると、「地元の人でにぎわっている中華料理屋さんがあるから行こう」という話になった。そこで、なぜこんなにキューバ人が観光客に声をかけて優しくしてくるのかが判明する。タダ飯を食らうためである。食べ終わり、会計するときには当然のごとくお金は持っておらずおごられる気満々だ。前述の通り、いくら働いても安月給しかもらえず、食料なども配給されるため、外食はなかなかできないのだろう。後日、一般家庭にお邪魔する機会もあったのだが、慎ましい生活を送っていた。きっとお金があれば、安いガイド代だと思って気持ちよく払えただろうが、このときは旅行資金が少なかったので焦った。他にも、バーに行けばモヒートをおごらされたりなどあったが、現地人しか行けないペソが使えるお店に連れて行ってくれたりと、観光客1人ではできないような体験もできるので、悪く思わず、楽しんでいただきたいと思う。

ハバナの観光名所巡り

2日目はオールドハバナを、3日目はニューハバナを回った。行き交う街の人が本当に心から笑っている人が多く、「幸せの国」を実感。ダイジェストのスライドショー:

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ハバナの街並 - 飛行機からの眺め
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